うんこ漢字ドリルの大ヒットや、横浜とお台場で開催し、上海進出も決まっているうんこミュージアムの盛況など、空前の「うんこブーム」が巻き起こっている。
うんこの周辺ビジネスも活況だ。腸から体調を整えたり観察したりする“腸活”が1つのトレンドとなっている。住宅設備を手掛けるLIXILは、排便するタイミングや便の大きさを分析するシステム「トイレからのお便り」を開発している。また、13年に設立されたウンログ(当時社名はじぶんラボ、東京都渋谷区)は便の状態を記録するアプリサービスを提供している。栄養剤など腸活に役立つ商品などを届け、使用した結果をユーザーがモニタリングするサービス「ウンといいBOX」も最近開始した。
そんな中、「株式会社うんこ」(横浜市)という会社があることをご存じだろうか。
うんこの本社外観
悪ふざけや個人事業主の屋号などではなく、うんこという会社は実在する。公式Webサイトも存在し、会社案内を見てみると、事業内容は「うんこのマークや、文字をあしらった服飾等の製造、卸、小売業」とある。オンラインショップ「UNCO SHOP」も展開しており、うんこスーツ(5万9800円、税別、以下同。現在は売り切れ)やうんこスニーカー(2980円〜)、縦書きで「うんこ」と書いただけの紙(150円)など幅広いアイテムを取りそろえている。
同社は5月にクラウドファンディングを実施。朝日新聞が提供するプラットフォーム「A-port」で「世界初のうんこ時計で幸せになろう!」というプロジェクトの支援金を募集したところ、達成率は546%。当初の目標金額は「50万円」だったが、477人の参加者から実に270万円ほどの支援が集まった。
プロジェクトの説明欄を見てみると、「世界初のうんこ時計で、ニコニコを増やし明るく元気で楽しい世の中を作りたいと考えています。そのうんこ時計の制作費用と、うんこ時計でニコニコする映像制作費用を集めたいです」(原文ママ)とある。プロジェクトに際してニューヨークでの動画撮影も行ったという。
ここまでして社会にうんこを広めようとするのはなぜなのか。そして、どんな人が会社を運営しているのか。同社社長で「うんこ社長」を自称する野畑昭彦氏に直撃した。
本社はプレハブ
再開発が進む南町田駅(東京都町田市)。ここから車で10分ほどのところにうんこのオフィスはある。オフィスといっても高層ビルの1室や持ちビルではなく、プレハブ。オンラインショップ「UNCO SHOP」を中心に販売しているうんこグッズなどの倉庫として普段は機能している。また、周辺には横浜総合卸センターがあり、一帯には卸売業を営む企業が多く存在する。
実は同社、建設現場で足を保護するために履かれる“安全靴”などの製造や卸売りを行う「株式会社のばのば」(横浜市)の関連会社なのだ。うんこ社長こと野畑氏はのばのばの3代目社長も務める。野畑氏によれば、本業である卸売業に対する危機感から、うんこに目を付けたという。
「うんこ社長」こと野畑氏。のばのばの社長でもある
のばのばでは、売り上げの7割以上を履物が占めている。ほとんどが建築や建設現場で使われるものだ。以前からこうした一極集中のビジネスモデルに危機感を持っており、試行錯誤を重ねていた。
野畑氏によれば、「のばのばは安全靴を扱う会社としては老舗の方」。1990年に安全靴を発売してから、順調に自社商品の製造販売や卸売りで業績を伸ばしていた。しかし、安全靴市場にも変化は起こる。これまで「黒い重い革の靴」が中心だった市場に、デザイン面に優れた「安全スニーカー」と呼ばれる商品が登場。アシックスなどスポーツ靴メーカーが安全靴を販売するようになったのだ。
のばのばが以前に販売していた安全靴は3000円ほど。そこに数倍以上の価格で、機能性に優れた商品が続々と登場した。これにより「疲れにくい」や「痛くない」といった機能面に注目が集まることになったという。
こうした状況を踏まえ、のばのばではトレンドに即したアシックスの商品などの販売代理業務に注力。その結果、売り上げは大幅に伸びた。一方で、売り上げの4割ほどをアシックス商品に依存するようになってしまった。また、アシックス商品のヒットにより代理店も増加。代理店間による激しい価格競争が始まった。加えて、商品やチャネルが限定的になってしまうという課題も生じた。
うんこの周辺ビジネスも活況だ。腸から体調を整えたり観察したりする“腸活”が1つのトレンドとなっている。住宅設備を手掛けるLIXILは、排便するタイミングや便の大きさを分析するシステム「トイレからのお便り」を開発している。また、13年に設立されたウンログ(当時社名はじぶんラボ、東京都渋谷区)は便の状態を記録するアプリサービスを提供している。栄養剤など腸活に役立つ商品などを届け、使用した結果をユーザーがモニタリングするサービス「ウンといいBOX」も最近開始した。
そんな中、「株式会社うんこ」(横浜市)という会社があることをご存じだろうか。

うんこの本社外観
悪ふざけや個人事業主の屋号などではなく、うんこという会社は実在する。公式Webサイトも存在し、会社案内を見てみると、事業内容は「うんこのマークや、文字をあしらった服飾等の製造、卸、小売業」とある。オンラインショップ「UNCO SHOP」も展開しており、うんこスーツ(5万9800円、税別、以下同。現在は売り切れ)やうんこスニーカー(2980円〜)、縦書きで「うんこ」と書いただけの紙(150円)など幅広いアイテムを取りそろえている。
同社は5月にクラウドファンディングを実施。朝日新聞が提供するプラットフォーム「A-port」で「世界初のうんこ時計で幸せになろう!」というプロジェクトの支援金を募集したところ、達成率は546%。当初の目標金額は「50万円」だったが、477人の参加者から実に270万円ほどの支援が集まった。
プロジェクトの説明欄を見てみると、「世界初のうんこ時計で、ニコニコを増やし明るく元気で楽しい世の中を作りたいと考えています。そのうんこ時計の制作費用と、うんこ時計でニコニコする映像制作費用を集めたいです」(原文ママ)とある。プロジェクトに際してニューヨークでの動画撮影も行ったという。
ここまでして社会にうんこを広めようとするのはなぜなのか。そして、どんな人が会社を運営しているのか。同社社長で「うんこ社長」を自称する野畑昭彦氏に直撃した。
本社はプレハブ
再開発が進む南町田駅(東京都町田市)。ここから車で10分ほどのところにうんこのオフィスはある。オフィスといっても高層ビルの1室や持ちビルではなく、プレハブ。オンラインショップ「UNCO SHOP」を中心に販売しているうんこグッズなどの倉庫として普段は機能している。また、周辺には横浜総合卸センターがあり、一帯には卸売業を営む企業が多く存在する。
実は同社、建設現場で足を保護するために履かれる“安全靴”などの製造や卸売りを行う「株式会社のばのば」(横浜市)の関連会社なのだ。うんこ社長こと野畑氏はのばのばの3代目社長も務める。野畑氏によれば、本業である卸売業に対する危機感から、うんこに目を付けたという。

「うんこ社長」こと野畑氏。のばのばの社長でもある
のばのばでは、売り上げの7割以上を履物が占めている。ほとんどが建築や建設現場で使われるものだ。以前からこうした一極集中のビジネスモデルに危機感を持っており、試行錯誤を重ねていた。
野畑氏によれば、「のばのばは安全靴を扱う会社としては老舗の方」。1990年に安全靴を発売してから、順調に自社商品の製造販売や卸売りで業績を伸ばしていた。しかし、安全靴市場にも変化は起こる。これまで「黒い重い革の靴」が中心だった市場に、デザイン面に優れた「安全スニーカー」と呼ばれる商品が登場。アシックスなどスポーツ靴メーカーが安全靴を販売するようになったのだ。
のばのばが以前に販売していた安全靴は3000円ほど。そこに数倍以上の価格で、機能性に優れた商品が続々と登場した。これにより「疲れにくい」や「痛くない」といった機能面に注目が集まることになったという。
こうした状況を踏まえ、のばのばではトレンドに即したアシックスの商品などの販売代理業務に注力。その結果、売り上げは大幅に伸びた。一方で、売り上げの4割ほどをアシックス商品に依存するようになってしまった。また、アシックス商品のヒットにより代理店も増加。代理店間による激しい価格競争が始まった。加えて、商品やチャネルが限定的になってしまうという課題も生じた。