03月06日 13:27毎日新聞
東日本大震災の発生6年を前に、福島と広島をつなぐシンポジウム「託されたもの〜大地と人と」が5日、中区で開かれた。
原発事故後に父が自殺した福島県須賀川市の農家、樽川和也さん(41)が講演し、来場者130人が耳を傾けた。
市民団体「福島と広島をつなぐもみのきの会」の主催。福島の避難者支援を行い、2012年から福島の被災者らに現状などを話してもらっている。
農家8代目の樽川さんは、両親と約4ヘクタールの農地を経営。野菜の出荷停止が告げられた原発事故後の3月下旬、父が首をつって亡くなった。
「地震だけなら立ち直っていた。父は出荷停止で積み上げてきた努力を無にされたんだと思う」と涙をこらえながら話した。
「作物を作って販売しないと賠償請求ができない。犯罪を犯しているような気分になる」と、自身の葛藤も吐露した。
パネリストとして参加した米国生まれの詩人、アーサー・ビナードさん(49)は
「東京五輪の開催に向けて盛り上がるのでなく、原発事故や福島の現実に向き合うべきだ」と訴えた。【東久保逸夫】
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