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コロナで高まる離婚願望 「避難所」運営者も在宅で破局
新型コロナウイルスの感染拡大で、外出や通勤の自粛が広がり、家で過ごす時間が増えている。家族とけんかをしたり、ストレスを感じたりすることが増え、「コロナ離婚」という言葉も生まれた。一方で、結婚相談が2割増しになったという相談所もある。何が起きているのか。
「旦那の在宅勤務で収入も減った。口げんかばかり」「少人数の飲み会だから参加しても大丈夫だという夫。危機意識の低さに失望」。「コロナ離婚」というキーワードで検索すると、不平不満を吐露するツイートは数多い。2月末からつぶやかれ、3月に入って目立って増えた。
東京都に住む30代の夫婦は共働き。2人ともリモートワークになり、7歳の娘も学校に行けない。「リビングがとにかく密集。テレビ会議では会社の機密事項も出るのに、広くない我が家でどうすればいいのか」と妻が嘆く。
いままではうまくいっていた家事の分担も言い争ってしまう。「外出しないから話題も増えない。結構、苦痛です」と話す。
増える不仲、破局、そして暴力
そんな夫婦のコロナ離婚を防ぐためにと、「一時避難所」を開いた業者もある。
全国でホテルや民泊を運営する「カソク」は、夫婦仲がぎくしゃくし、自宅外で過ごしたいと望む人向けに、1泊3千〜2万円、月単位なら7万〜65万円で、部屋や戸建てを貸し出す。家具家電付きでインターネットも使える。今月3日に始めたばかりのサービスだが、問い合わせは80件を超えるという。
30〜50代の男女が主で、「今すぐ、5月まで入りたい」と悲鳴にも近い要望が寄せられている。実は同社の新井恵介社長(28)も、在宅が増えたことを発端に、同居していた彼女と破局したばかりだという。
外出自粛で深刻な影響も出ている。国連は7日、都市封鎖をしている国で家庭内暴力が急増しているという報告書を出した。シンガポールとキプロスでは相談が30%増加。各国の慈善団体は、女性や子どもを守るために緊急保護施設の設置を求めている。
今回はかなり広い範囲に経済的な影響が及び、中央大の山田昌弘教授(家族社会学)は「サービス業など非正規雇用の仕事に就いている女性の貧困化が心配だ」と話す。2019年の総務省の労働力調査によると、働く女性の半分が非正規雇用だ。
結婚相談所では件数2割増し
一方で、家族の絆に改めて目を向ける人たちもいる。
40周年を迎えた結婚相談所「オーネット」では、「一人では不安」「結婚願望はあったが、いつかではなく今」という相談が寄せられている。
東京・青山にある結婚相談所「マリーミー」では、コロナ問題が深刻化して以降、相談件数が通常の2割増しだという。9年前の東日本大震災の際にも相談が急増したといい、代表の植草美幸さんは「社会的危機をきっかけに、どのように生きていきたいのか、自分の人生に向き合うからだと思う」と話す。
植草さんは共に過ごす時間が増えてイライラが募る夫婦にとっては、コロナ危機は互いに向き合う好機にもなるとみる。「手の込んだ料理を作ったり、
家の大掃除をしたり、共同作業をして絆を深めていっては」とアドバイスする。
「#コロナ離婚」で投稿されたツイート
・GW明けまで嫁とずっと一緒なんだが、息がつまりそうだ…
・子どもが生まれる前はどーやって2人で生活してたんだろ
・コロナによる旦那の平日自宅滞在が始まり、モラハラに耐えることが増加。何もせず3食きっちり作らせ食べるだけの旦那
・妻が、俺と同じ空間にいると蕁麻疹(じんましん)が出そうなほど嫌だというので、1人台所の床でナポリタン食べてます。子供たちの楽しそうな声が聞こえてきて、死にたい気持ちになります
・我が家では、2人で昼ご飯の支度をして話す時間が増えました